eポートフォリオ活用でテストの得点率が30%から85%に
2021/09/03
今回は、SNS型eポートフォリオであるFeelnoteを活用した教育を行う、大商学園高等学校の事例を紹介する。
大商学園高等学校は、偏差値40台前半という学校でありながら、eポートフォリオであるFeelnoteを活用して生徒のモチベーションをうまく向上させ、テストの得点率を30%から85%まで上げたという功績を持つ。Feelnoteの特性を最大限に活かし成果を上げた学校である。
この記事では、大商学園高等学校のeポートフォリオの活用例や成果について説明していく。
テスト得点率を50%以上向上させた大商学園高等学校のFeelnote活用例
大商学園高等学校 ICT戦略室室長の中村天良氏からから実際の活用例が紹介された。
目標や感情をアウトプットさせることで生徒の「なんとなく」を減少させる
大商学園高等学校では、定期考査の前後にFeelnoteで記録を残すよう生徒に促している。
例えば、定期考査の前にはテストの点数の目標、定期考査後には今回のテストの振り返りと次の目標を書く、といったことである。これにより、生徒が明確に自分の目標を自覚できるようになり、その目標達成のために努力できるようになるのだ。
さらに中村氏は、Feelnoteは文化祭などの学校行事でも効果を発揮していると言う。
行事ごとの出来事や感じたこと(「感動した」「楽しかった」等)をアウトプットすることによって、自分たちの学校生活がいかに充実したものであるかを生徒たちが実感できる。
これによって勉強・行事全てにおいて「なんとなく頑張る」「なんとなく楽しかった」というような曖昧な感情が減少し、「この目標に向かって頑張る」「みんなで協力し合えたことが楽しかった」というように、目標や感情を明確化できるのだ。
皆で感情や出来事を共有し、勉強へのモチベーションアップにつなげる
中村氏は、友達や教員とさまざまなことを共有・共感し合うことが、生徒の勉強へのモチベーションにつながっていたと語った。
学校生活では勉強などでつらいと思うことや大変だと思う場面も多々ある。そういったときにクラスメイトや友達の投稿をFeelnoteで見ることで、「皆も頑張っているから自分も頑張ろう」という気持ちになる。そしてそのような投稿・コメントがまた新たな前向きなコメントを引き起こし、長期的に多くの生徒のモチベーションを保つことができるというのだ。
また、生徒の投稿に対して先生が反応するのも大事なことである。中村氏は、課題に対してではなく、生徒の投稿やつぶやきに対してにいいねやコメントをすると、それが生徒のモチベーションにつながっていたことを明らかにした。
生徒教員に関わらず、皆で感情や出来事を共有し合い、互いに共感することが意外にも生徒のモチベーションアップにつながるのである。
コミュニケーションツールとして活用し、生徒の声に耳を傾ける
Feelnoteを介したコミュニケーションをとることで、対面ではなかなか言いづらい内容も気軽に投稿できるようになる。そのため、教員側は生徒のケアを今まで以上に素早くできるようになった。生徒のSOSに対するレスポンスが早くできるため、生徒にもより安心感を与えられる。
このように、生徒の不安にいち早く気づき、対処できるという面についても、Feelnoteはとても有効的なツールであるといえる。
長期休暇中のFeelnote活用で記憶を定着させる
前学期の授業内容などが抜け落ちてしまいがちな長期休暇だが、大商学園高等学校は、長期休暇中にFeelnoteを活用することで、記憶の定着に成功した。
このときのFeelnote活用法は以下のとおりである。
- 問題集を8分割し8日に分け、課題を解いた日にFeelnoteに課題の写真をアップ
- 課題をアップするときは、休暇中の楽しいつぶやきも一緒に
- 教員は、課題ではなく楽しいつぶやきに対して何らかのコメントをする
これにより、楽しいつぶやきを投稿するために課題を頑張ったという生徒が出てきたり、答えを写すなどのズルい行為で宿題を提出する生徒が減ったりと、記憶力定着に大幅な効果があったという。
このように、長期休暇中に生徒の投稿に教員がタイムリーにコメントすることが可能なのはFeelnoteならではの教育方法だといえる。
大商学園高等学校が感じたFeelnoteの成果
最後に中村氏は、Feelnoteの成果について語った。
Feelnoteを使い始めたことにより、生徒の文章力が向上し、テストの得点率も30%から80%まで上がった。中村氏は、勉強以外の話題についての会話や投稿が、意外と勉強のモチベーションになったと言う。
さらには、生徒が情報リテラシーについても学ぶことができているというのだ。
SNSが普及しているこの時代、ネット上の情報全てをうのみにしてしまうことは危険である。Feelnoteを日々活用することで、生徒たちは自然と情報をうのみにしない力や自分で伝える力を身に付けることができる。
以上、大商学園高等学校でのFeelnote導入事例を紹介した。